面白かった。小池知事の人となりが分かった。いち市議会議員政治家としては、小池知事の肝っ玉の太さに敬意を表するとともに、彼女は都知事をあと1期やれば飽きてしまうんではないだろうかと思った。彼女は光り輝く場所を求めているのだろう。ただ、年齢もあり都知事で終える覚悟もあるのかもしれないが、チャンスがあれば、国政に戻るのではないかという思いをもった。

さて、知事のカイロ大学卒業ということが週刊誌などでも話題になっている。しかし、カイロ大学側が「卒業している」と声明を出したことでジエンドだろう。都議会自民党も追及をあきらめざるを得なくなったようだ。本を読み終えて思うのは、「卒業はしたことになっている」「でも、その手続きはかなり怪しい」というものだ。前提にこの本の記述がすべて事実ならばということであるが。本の内容はかなり具体的でリアリティーだ。著者は膨大な資料を読み込み、現地にまでいって取材をした。とりわけ、元同居人のコメントはかなり説得力がある。おそらく、入学の際にも力が働いた可能性はある。普通ではありえない大学2年への編入に始まり、卒業したとされる年の進級試験に落第してひどく落ち込んでいたのに帰国することになった。帰り際に「あなたのことは本に書かない。だってばれちゃうから。」ということが事実なら推して知るべしだ。

知事のお父様はかなりの破天荒な方だ。このような生き方をしている人はまれにいるものなのだろう。政治の世界ではかなりいるのかもしれないが、私の周囲には今のところ居ない。このお父様の影響をかなり受けているのだろう。小池知事の器は計り知れない。

情で失敗することがなく、機敏に勝ち馬に乗る。細川護熙を切り捨て、小沢一郎を切り捨て、政界を泳いできた。政治家として成り上がるのはこういう資質も必要なのだろうか。

本に書いてある非情さには読んでつらくなる。おそらくこの本を読んだ人は知事選で小池百合子と書くのは少ないだろう。でも多くの人は読まないし、知事としての実績など消去法でいっても、イメージで言っても、コロナ対策をシッカリやっていけそうなのは?と考えても小池知事しかいないだろう。もう圧勝だろう。

アスベスト被害者、築地女将さんの会、水俣病患者、拉致被害者の心に傷を与える言葉、ふるまいをしてきた彼女。「そんなこと言ってません」という過去の言動を本で知って、知事選のときに鳥越氏に「病み上がり」と言ってしまったことについて聞かれると「言ってません」と言ったことを思い出した。私はそれをテレビで見ていたが、「うわ、これよく言えるな。嘘ついちゃったよ」と思った。しかし、テレビでは尺のこともあり、これ以上踏み込まなかったので知事は命拾いした。

政治の世界は怖い。小池知事が圧勝すると、来年は都議選、私自身も市議選がある。もしかしたら、オリンピックの開催もあり都議選は前倒しになって市議選と同一選挙かもしれない。知事は都民ファーストの応援に力を入れるだろう。そうなると、都議会自民党は一層苦しくなる。今までは都議会自民党が挽回して第1党になると思い込んでいたが、そうならないかもしれない。そうなると、3番手の公明党がより一層キャスティングボードを握る。公明党は与党でいたいだろうから、また自民党には苦しい判断になるとも思われる。しかし、もし都議会自民党が第1党になった場合、小池知事と握手をする時がくるかもしれない。そして小池知事が都政を離れたとき、都民ファーストの都議には厳しい時がやってくる。それは、2025年の都議選だ。